オペラ「パコと魔法の絵本」を終えて…
こんにちは!オペラ「パコと魔法の絵本」で演出を務めました、村上です。 先日3月23日に、無事初演を終えることができました。本当にありがとうございました。
(まだ上がっていない関係で、これは本番ではなくリハーサルの写真ですが…笑)
高校2年生も終わり、新3年生としてそろそろ勉強にも向き合わなければ…!と危機感を抱きながら、まだしっかり余韻に浸っている自分もいます(笑)。
アンケート用紙やTwitterなどでたくさんのご好評をいただき、本当に嬉しく思っています。「再演してほしい」という言葉を最初に見たときの嬉しさは忘れられません。演出を担当した私にとって、お客様にもう一度観たいと思っていただけることほどの幸せはありません。本当に、ありがとうございました。
作品を観た人に、感動や、パワーや、きっかけを与えたい。誰かの明日を生きる力になりたい。演目を選ぶ段階でそれを一つ大きなテーマとして掲げていました。大袈裟な話や綺麗事ではなく、私はそれが実現できたのではないかと思います。 私たちのような高校生が演じる姿は、もしかしたら高いお金を払って観るものよりも、何かものすごくエネルギーを持っているように思います。それが何かは分かりませんが、16歳や17歳の私たちはおそらく、自分の中の恥ずかしさと闘い、時に仲間とぶつかり、立ち止まっては真剣に悩み、そういうことに必死になります。大人もそうかもしれません。でも、高校生のそれはまだ不器用で、いちいち全力で、子どもじゃないけど大人にもなりきれなくて、未完成です。少なくとも、私はそうでした。不器用だから、いちいち立ち止まって遠回りをして、やっとここにいる感じです。でも、人はそうやって大人になっていくんだろうなと思います。 みんなで楽しいこと、苦しいことを重ね、葛藤を重ね、そして何度も稽古を重ね、ダメ出しを重ね、だんだんみんなの気持ちが同じ方向を向くようになっているのが分かるようになりました。みんなが本気でこの作品に向かってくれているのが分かるようになりました。そこに感動が生まれ、エネルギーが生まれ、上手くいくとお客様にもそれが伝わります。 そしてそれを教えてくださったのは、台本・作曲をしてくださった木村先生でした。先生が本番一週間前くらいに、私にこんなことをおっしゃってくださりました。
演出はやっていると孤独を痛感しますが、そこには演出にしか分からない楽しさがあります。そしてそれは、このグリークラブの中であなたしか知りません。
私は、その楽しさに思いっきり魅了されてしまいました。 そして実は(ご存知の方もいるかと思いますが)、私自身も本番の舞台に出演しました。 それまでずっと、前でみんなの演技を見て指導していましたが、前日のゲネプロと本番はみんなと一緒に演じていました。 本来、演出は出演しないのが一般的であり楽でもありますが、どうしてもどうしてもこの素敵な曲を私も歌いたいという気持ちに勝てず、出させていだきました(笑)。 ゲネプロを見た木村先生に、「悲しい曲まであなただけ笑顔で歌っていた」と言われ、反省したのを覚えています(笑)。
前で稽古をさせていただいた数ヶ月はもちろん、何よりみんなと演じることができたことも忘れられません。
緞帳が上がるあの緊張感を、全員が本気で楽しんだ65分間を、鳴り止まない拍手を、思い出しては泣きそうになります。忘れられません。
古典オペラを30年間上演してきた生田グリーに、今回のオペラ「パコと魔法の絵本」は大きな転機をもたらしてくれました。 選択肢は無限にあり、そしてそれを選択することができるのは他の誰でもない、私たちであるということ。何かに縛られる必要はなくて、むしろ型破りくらいの方が面白いということ。そして大事なのは、できるかできないかではなく、やりたいかどうかということ。本当に、多くのことを学びました。これを機に、生田グリーのオペラはさらに変化していくと思います。 これからもどうぞ、生田グリーをよろしくお願いします。 本当にありがとうございました。
演出 村上未優
P.S.先日1・2年生(オペラの出演者たちです)で打ち上げをしました(^-^) なんと、私のカメラワークが下手すぎて全員が写れた写真は一枚も撮れていません(笑)。 オペラをやる前とやった後で、人と人との距離感みたいなものがとても変化したなと思います。そしてこれからも、色んなことを乗り越えていけると思います。